手放すということ

友達や伴侶との関係においてはお互いの意見や感じ方があまり違わないほうがうまくいくと考えられ、その証拠に意見の食い違いは人間関係の決裂を招き、たとえ近親者であっても「うちになじまない」という理由で離縁されても文句は言えないご時世です。


その対象がお嫁さんやお婿さんだけではなく、年老いてから面倒をみている(はずの)親であれ、引き取った(はずの)養子であれ「うちになじまない、相容れない」とみなされたら、放り出されることだってありえるのが実情です。


対して深い関係でなくても同じ方向を向いているということが付き合い上望まれていることは間違いありません。


ちょっとした顔見知りと交わす会話が、政治のことよりはお天気のことというのも、衝突を避けるために生活の知恵といえるでしょう。


家族のなかでも大人になった娘は母親と料理の話をし、息子は父親とスポーツ観戦などを通して会話がはずむのを体験するでしょう。

みな、同じ原理です。


しかし人間関係を分析すればするほど、だれ一人として自分と同じ人間がいないことがわかり「人との違いは人生のスパイスさ」などと呟いても心の中には孤独の風が吹き抜けます。

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